20160606
「目標設定の落とし穴」
『目標を持って行動しましょう。』
『こだわりを捨てずにやりきりましょう。』
何か物事に取り組むとき、どちらも大切なことでしょう。
このときに気をつけなければならないのは、完璧主義にはならないということです。
完璧主義とは、自分なりの最高峰の理想を追い求めることをいいます。
テストであれば、90点では満足せずに100点でないとだめ、運動会では一等賞以外はだめ、というような具合です。
精神医学では、精神疾患のひとつともされているこの完璧主義ですが、どのような人でも、これに近い考えを持っているものです。
たとえば、失敗や間違えることに対して、強い抵抗を覚える子がいます。
間違えることが嫌だから、学校で習っていない問題には挑戦しないとか、学校の飯ごう炊飯でカレーライスを作るとき、やったことがないので見ているだけという子はめずらしくありません。
これらは、"完成された状態"をよしとする完璧主義の手前の段階の、"失敗しない状態"をよしとする「かくれ完璧主義」というような状態です。このような子にまず必要なのは"自信"です。
自分はできるという思い込みや、失敗しても何とかなるという安心感が必要です。
この思いが、新しい物事に挑戦する意欲を生み出していくのです。
では、自信をつけるにはどうすればいいのでしょうか。
それは、自分が簡単にできそうなことを、こつこつと積み上げて行くことで、自分を褒める機会を増やせばいいのです。
別の例で考えてみましょう。
たとえば、毎日食後におやつを食べることが習慣になっている人がいるとします。
この人が、ダイエットをしたいと思ったとき、
①食べてしまったおやつの量を記録する
②食べなかった(残った)おやつの量を記録する
どちらの方が、成功する可能性が高いでしょうか。
①の場合、おやつを食べるたびに、「また食べてしまった」「私は意志が弱い」といったマイナスのセルフイメージが強化されていくことになります。
結果、そのイメージにあわせるように、自然とダイエットも続かなくなっていきます。
②の場合、おやつを1つ残すたびに、
「今日はこれだけ我慢できた」
「続ければやせるかも」
といったプラスのセルフイメージを強化することになります。
このように、「簡単にできることで自分を褒め続けること」は、自分に小さな自信を与え、それがモチベーションとなって、最終的な目標達成につながりやすくなります。
ポイントは、「誰でもできるような小さながんばりを認める」ということです。
高すぎる目標は、達成できなかったときにそれがストレスとなり、かえって自己イメージを下げることになります。
学校の勉強をするにしても同じです。
最終的な目標はテストで100点を取ることだとしても、まずは60点、次に70点というように、自分にあった、できそうな目標から挑戦すれば良いのです。
点数では目標が立てにくいときは、何分以内に問題が解けたとか、前回よりも計画的に勉強を進めることができた、といった簡単な目標や、自分を前向きに評価できることを探すことが大切です。
この小さな積み重ねが、その子の"自信"となり、その自信の積み重ねが、失敗をおそれずに挑戦する意欲や失敗から学ぶ姿勢を作り上げていくのです。
子どもが自分自身で「できた」と思えるようになるために、まずは私たち大人が、その子が「できた」と思える部分を探してあげると良いでしょう。
子どもたちは、自然とその考え方を真似して、自分自身の良いところを探していけるようになっていってくれるはずです。